日本ストレッチング協会認定インストラクターの森脇です。
普段は、福岡のリラクゼーションサロンに勤務しております。
ブラッシュアップセミナー開催にあたり、
今回はサロンの現場で実際にあった出来事を交えて
お話しさせていただきます。
皆さんはどんなお客様が好きですか?
お客様に対して“好き”“嫌い”というのも
少し語弊があるかもしれませんが、
私は“自分の身体は自分で何とかする”というマインドを持った
お客様が好きです。
つまり、
『基本的には自分で何とかするけど・・・困った時はお願いね(^-^;』
というスタンスで来店されるお客様です。
接客のやりとりの中でお客様の方から、
「家ではこんなケアを自分でしているんですよ。」
とか、
「前回教えて頂いた方法を試したら調子がいいです。」
なんて声を聞くと、愛おしささえ覚えます。
さて、そんな愛すべき“努力派”のお客様ですが・・・
中には困った方もいらっしゃいます。
どんな方かというと、ズバリ“我流”の方です。
ただの我流ならいいのですが、
頑なにそれを信じてやまない方は正直困りものです。
「見てください! コレをこうやって…コレをこうしたらホラ!
3ヶ所一緒にストレッチできるんですよ! これってすごくないですか!?」
『フム・・・たしかにすごいポーズだな・・・。』
しかし3つも同時に伸ばそうとすれば、
下手したら一つ一つの効果は3分の1・・・もしくは・・・。
『たぶんそれ意味ないですよ』
心のシャウトを悟られぬよう飲み込みました。
誤解の無いように一つ整理すると、
厳密には“意味が無い”ことはありません。
それをすることにより、
心身共に満たされるのであれば、
エビデンスがあろうとなかろうと、
それをやめる必要がないからです。
ただ! 知ってほしい。
もっと効率的な方法があることを。
でも! 聞いてくれない。
我流であみだしたそれが正しいと信じているから。
さあ困りました。
この手のお客様は方法論ではビクともしません。
ここでお客様の聞く耳を持つか
持たないかを左右するのが、
やっぱり座学。
専門知識の豊富さです。
「こうした方がもっと効果的で簡単ですよ。なぜならば・・・」
この“なぜならば”という理由の部分が重要です。
前回のコラムでもお話させていただいたように、
専門知識を専門的になりすぎないよう、
言葉を噛み砕きながら上手く伝えなくてはいけません。
私のお伝えしている方法は、
ベーシックでシンプルなものばかりです。
なので、
ヨガやピラティスのようなものを好まれる方にとっては
“つまらない”“面白くない”と思われるかもしれません。
しかし、
基本的でシンプルな方法だからこそ
効果が出せる理由を知っているので、
自信を持ってお伝えしています。
(ヨガやピラティスを否定するわけではありません)
お伝えしている最中は
「そんなのもう知ってるよ」的な反応ですが、
一工夫加えると、
「あーこれ効くね! こんな感じでいいんだ!」
まさに灯台下暗し。
目からウロコ。
こんな簡単なことで痒い所に手が届くのか!
そんな嬉しい反応をいただきます。
しかしながら、
お客様も自身の努力の末に
独自の方法を見つけられたわけなので、
その方法も同時進行でされてくださいと伝えました。
若干キツそうなポーズではありましたが、
ムダにはならないと思ったからです。
しかしお客様は
「いや、今教えてもらったやつだけします。」 とのこと。
私:「え・・・でもせっかく考えてらっしゃったんで・・・」
「いや~アレもういいや。体勢けっこうキツイんで。」
私:「ん~・・・まぁ確かにキツイでしょうね!!(笑)」
流石にこの時は心のシャウトを飲み込むことはできませんでした。
さっきまで
『これすごくないですか!?』
と目を輝かせていた人が、
あまりにも正直すぎる反応だったので
思わず笑ってしまいましたが、
なんとか受け入れていただけたのでよかったです。
私は“間違った方法”“正しい方法”という表現が
あまり好きではありません。
時として、
物事に白黒つけないといけない場面や、
ハッキリ言ってあげた方がいいこともあるかもしれませんが、
私がセルフケアを提案する際は、
“いかにお客様の背中を押してあげられるか”
ということに重きを置いています。
素直に話を聞いて下さるお客様もいれば、
前述したお客様のように
独自の方法論を展開される方もいらっしゃいます。
色々なお客様と接していく中で、
総じて最終的に最も説得力があるのは
『基本がきちんとしていること』です。
何度も言いますが、
あまり専門的になりすぎないように注意し、
シンプルな言葉や例え話にのせて伝えます。
そして
『基本がきちんとしていること』のいいところは、
お客様が持ち込んだ方法を添削、
応用してあげることができる点です。
お客様の努力に対して、
足し算や引き算をして、
お客様にピッタリな方法を提案することができます。
“これは間違い”“これは正解”なんて野暮だと思いませんか?
お客様は白か黒かの2色ではありません。
お客様はあなたに
『私のことを見てほしい』、
『私のことを考えてほしい』
と思っています。
きっとあなたはお客様を見ているし、
考えているでしょう。
しかし、その気持ちが
100%お客様に伝わっているという自信がありますか?
あるなら問題ありません。
しかし少しでも自信が無いようでしたら、
まずはセルフケアの方法の指導から
始めてみることをお勧めします。
「いや~今日は天気があまりよくないですね、明日はどうですかね~。」
と明日の天気の心配をするセラピストより、
「今日は随分肩がはっていましたね。
痛みが出ないように日頃気をつけるべきことは・・・」
とお客様の
今後を気にしてくれる
セラピストの方が喜ばれるのは間違いないですよね。
難しい知識や言葉は必要ありません。
お客様に寄り添えるシンプルな方法とアイデア。
それがまるごと“思いやり”として伝わります。
『いい話きいた』
『今日来てよかった』
『なんか得した気分』
セラピストとしての価値を高めるのは、
施術のクオリティーではなく、
こういった心配りの方が
重要である場合も少なくありません。
施術のスキルばかりを求めすぎると、
逆にエゴにはまってお客様を見失う恐れもあります。
そうならない為にも、
“お客様の今”だけではなく、“お客様のその後”にも
目を向けてみませんか?
講座では、
お客様の生活に寄り添うヒントやアイデア、
接客に役立つ雑学など、
現場で実際にお客様に喜んでいただけた内容を
余すことなく紹介します。
皆さんの大切なお客様のお役に立てれば幸いです。
長文失礼しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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日本ストレッチング協会認定インストラクター
森脇 由宇
このページはヘッドライフ代表の江口が作成しました。(2019.8.10)