先日、サロンスタッフの技術チェックを行いました。
定期的に行ってはいますが、オーナーである私を施術するのは少し緊張するようです。
どういった経緯かは忘れましたが、「何を考えながら施術しているか?」という話になり、一人のセラピストが言いました。
『私は、お客様が少しでも楽になるよう母親のような気持ちでやっています。』
その場がとても優しい気持ちであたたかくなりました。素晴らしいスタッフをもって私も幸せです。
しかし、水を差すようですが、忘れてはいけないことが一つだけあります。
「相手を想う事は良いことだ」と良かれと思って一生懸命になりますが、あまりに相手を思うあまりに自分の気が強くなりすぎて相手に気が伝わらない事があります。
そういった場合に陥る現象が「気の跳ね返り」です。
結果的に施術効果がぐんと下がってしまいます。
実際、このスタッフもそういうタイプです。「優しさ」「真面目さ」「自己犠牲の精神」が強すぎては心身ともに疲弊してきます。
では、どうすればいいか?
この業界では、昔から「無念無想」という言葉が用いられます。読んで字のごとく「何も念じず、何も想わず」ということです。仏教でいう無我の境地だそうです。
これってすごく難しいことですよね(汗)
ただ、セラピストなら一度は、シンクロすると言ってお客様と通じ合った感覚があったり、このお客様だと何時間施術しても疲れないと感じる事を経験します。
この時が「無念無想」に近いのではないでしょうか?
施術していても頭の中がクリアーな状態で雑念が無く、指先が勝手に動き、尚且つお客様の微細な反応を見逃さない。
後で振り返ると理想の施術が行えたときは、こんな感じだと思います。もちろん、技術が熟練していないと成せる事ではありませんので、新人さんは、一つずつ確かめながら丁寧に施術してください。
ちなみに、あれこれ考えたり、想いを巡らすことを「千思万考」というそうです。お客様の事であっても「千思万考」していては、微細な反応に気づきません。
お客様の微細な反応は「リアクションではなくリクエスト」と捉えることもできるので見逃したくはありません。
これから、自分の施術を自己評価する上で「無念無想になれたか?」を基準に取り入れてはいかがでしょうか?
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