本日は、がん患者さんへの施術についてお話します。
がん患者さんにマッサージ等の施術をしても良いのか?
ダメなのか?といった内容になります。
施術の禁忌に入れているサロンさんも多いのではないでしょうか?
乳がんのお客様がご来店 |
先日、岡山県からヘッドマッサージ1級試験にお越しになり、見事合格されました。
この卒業生M様は、デザインのお仕事をしながら、ご自身のサロンを持たれています。
そんなM様のサロンに、乳がんのお客様がお越しになりました。
お客様のご要望により施術をしたようですが、その時の体験談を聞かせていただいたので皆様にシェアします。
施術の体験談 |
その乳がんのお客様は、デコルテ(胸周り)は少しの圧でも痛みを感じ、首のリンパ流しは、くすぐったいという状態でした。
施術時間が経過すると共に、痛みや不快感は緩和したそうです。
(自律神経系の五感異常によるものでセロトニンの鎮痛作用が働いたのかもしれません)
その他は、何も問題なく無事に施術を終え、お客様も喜んで帰宅されました。
すると次の日、「朝一の尿が紅茶のように茶色いのが出た」とご連絡があったそうです。
施術前に説明をしていた |
卒業生M様は、ヘッドマッサージの施術前に好転反応の説明をきちんとしていました。
その際に「濃い色の尿が出るかもしれません」とお伝えしていたので、お客様は「これが好転反応か」と大変喜んでくれたそうです。
施術の効果を実感してくれたので、きっと通ってくださると思いますが、、、ここからが本題です。
そもそも、がん患者さんに施術をしても良いのでしょうか?
がん患者に施術して良いのか? |
まず知ってほしいのは、がん患者さんへマッサージ等の施術することについて、肯定的なセラピストと否定的・懐疑的あるいは、慎重派のセラピストに分かれます。
ごく一般的なリラクゼーションサロンの多くは、《施術はご遠慮いただく》もしくは、《医師の許可があればOK》となります。
私個人やスクール(協会)としても同じ対応です。
なぜなら、医療ではない業種なので慎重派となります。
肯定派のセラピスト |
がん患者さんへの施術について肯定派のセラピストは、治療系セラピストさんです。
もちろんその場合も、医師の同意(許可)があったほうが良いです。
【肯定的な考えとして】
(1)ストレスの緩和
リラクゼーション効果によってオキシトシンが分泌し、不安・緊張・興奮を鎮めます。癌というご病気だけにストレスケアといった施術は、大きな手助けとなります。
(2)痛みの緩和
当スクールのヘッドマッサージは、セロトニン活性効果が脳波測定によりに認められています。
オキシトシン・セロトニンの活性は、痛みを抑制する効果があるため、癌による痛みや治療による副作用の緩和として、程度はその時(施術レベル)によりますが手助けとなります。
(3)睡眠と免疫改善
セロトニン活性により、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニン分泌が促進することで夜の睡眠の質を高めるサポートとなります。
質の良い睡眠は、自律神経、ホルモンバランスを整えることになり免疫力アップ、生体機能の向上に繋がります。
このように、心身が健康でありながら社会生活を過ごすウェルビーイング(Wellbeing)や、クオリティーオブライフ生活の質の向上、末期癌の場合は、ターミナルケアという考えが主になります。
その結果、癌の進行を止める、癌細胞が消失するとまでは断言できません。
参考
中には、がん治療中にマッサージをすると、「がんを刺激して転移させてしまうのでは……」と不安に思い、マッサージはおろか、体に触れることすら怖がる方もいると聞きますが、そんなことは決してないので大丈夫です。そもそも、がんの原因は細胞の劣化。マッサージを正しく行えば、がんがあちこちに飛び散るなんてことはありません。
※癌の促進、転移になるという意見もあります。
否定派のセラピスト |
がん患者さんに施術することを完全否定するセラピストがいます。
【否定派の主な理由】
(1)がん細胞を活性化してしまう
施術により血流がよくなるとがん細胞が活性化することで癌の進行が早まる。例えば、若年者のがんの進行は早いが、高齢者のがんの進行は遅いの同じで過度に活性化すべきではない。
※前述の医師の話では否定されていますが肯定する医師もいます。
(2)がん細胞が転移しやすい
事実として、がん細胞は分離するとリンパ液や血液を介して転移することがあります。
マッサージ等の施術により、特にリンパ液の流れが促進されるとがん細胞が転移する可能性があり、がんの種類によっては施術を禁止するという考えの専門医もいます。
慎重派のセラピスト |
慎重派のセラピストは、治療を目的としないリラクゼーション、エステのセラピストになります。
【慎重派の主な理由】
(1)判断できない
仮の話ですが、あなたが、がん患者さんに施術したいと思って、近くの保健所に相談しました。
そうすると保健所の職員から「医師とご家族の許可を得てください」と言われることでしょう。
私たちリラクゼーションセラピストは、病気、怪我、手術後いつから施術できるかなど、自分で判断していけません。
(2)責任問題
施術中または施術後に何かあった場合は、慰謝料などの損害賠償請求をされかねません。
その他、行政指導や行政処分(営業停止)、または業務上過失として立件され、逮捕される可能性さえもあります。
(3)モラル・立場
社会的な立場として、リラクゼーションサロンはサービス業です。医療行為・医業類似行為はできないため、重大な疾患や重篤な病状がある、またはその恐れがある場合は、医療機関の受診を勧め、主治医の許可を得て施術する必要があります。
その方の人生・生命にかかわることになるため、安易に「できます・やります」といった発言をすることはリラクゼーションセラピストとして如何なものでしょうか?
結論 |
この結論は、私の個人的な考えになりスクール(協会)の意思になります。
目の前に、お困りの方がいるなら「少しでも楽にしてあげたい」と思うのがセラピストです。
しかし、相手のことを想うからこそ慎重になる必要があります。
「がんの治療中です。施術できますか?」とお問い合わせがあったら、最低でも医師の許可を得ましょう。
そして、心配する家族もいるので、なるべく家族の同意も欲しいところです。
それは、重大な病気だけに、ご本人はよくても家族が怒る場合があるからです。
家庭内で癌を患った家族のために施術するのと、サロンとして営利目的で行うのでは、技術的な差もあれば、感情的な差もあるので周りへの配慮も必要です。
さらには、医師であっても、がん患者へのマッサージを否定する先生、肯定する先生、皮膚がんなど種類を限定して否定する先生がいるのが現状です。
また、がんのステージにより許可することがあります。
このように私たち、リラクゼーションセラピストが判断できることでは無いため、慎重にならざるを得ません。
門前払いをするわけではなく、お話をしっかり聞く“傾聴”をするだけでも癒しの効果はあります。
少しでも癒しをお届けできると良いですね。
追伸
「治療中ではなく、術後5年の期間が経っている方も 念のため医師の了解をもらってからと説明した方がいいですか?」
この質問は、年に何度か聞かれるのですが、私の口から「大丈夫ですよ」「了解がなくてもいいですよ」とお答えすることが出来ません。
最終的には個々の経営判断です。《慎重になりたければ主治医の了解を得る。》それだけです。
メルマガ作成日
2024年2月11日
作成者・ヘッドマッサージ専門家 |
スクール代表・協会理事長
江口征次
株式会社ヘッドクリック 代表取締役
一般社団法人日本ヘッドセラピスト認定協会 理事長
ヘッドライフ 代表管理人
頭ほぐし専門店atama代表
ヘッドスパ専門店atama代表
ハンド、腸セラピー、リンパ等のセラピスト協会 理事長
業務用ヘッドマッサージオイル・施術用枕の販売責任者
【登録商標】
・頭ほぐし専門店atama 登録5576269
・頭ほぐし整体院 登録5977517
・骨相セラピー 登録5790990